plasma_boyのブログ

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高専OBが高専について中学生向けに説明してみた

マーシーです。今回は高等専門学校、略して"高専”について記事を書きました。

中学生時代の私に向けて説明するつもりで書きましたので、これから進路を考えている中学生の方や、親御さんに参考にしていただければと思います。

 

私の略歴

まずは、私の略歴をお話しすることでこれからの話が入りやすくなると思います

 

公立中学校を卒業

   ↓

同じ県内の工業高専に進学

   ↓

同じ高専の専攻科に進学

   ↓

某大手メーカーに就職

   ↓

1年後に退職。修士課程へ進学する決意をする

   ↓

東京工業大学修士課程へ進学決定←今ココ!

 

どうですか。なかなか見ないルートでしょう(笑)東工大へ進学する道はたくさんあれど、人があまり通らない道を通ってきた感は否めません。

 

高専とは

高専は①工業を学ぶ工業高専と②商船を学ぶ商船高専があります。全国57高専のうち、50校以上が工業高専です。よって今回は工業高専について詳しく書きますね。

 

1. 高専5年間一貫教育である

ん、高校って3年間じゃないの?って思った方もいらっしゃるとおもいます。実は、ここが高専の大きな特徴です。

中学校を卒業すると進学校や工業高校、商業高校などさまざまな高校へ進学しますよね。そのどれもが3年制です。一方で高専は3年生が終わった次の年は4年生となります。まるで8月31日から32日へ突入するように。そうして5年間一貫で工業を学び、20歳で卒業していくのです。

 

2. 高専卒業は短大卒扱いである

高専が5年制であるということは、高校卒業後に短大へ進学したのと同じ期間勉強したことになりますよね。ですから、高専卒業後に就職した場合の扱いは短大卒となります。

 

3. 高専には学科が4、5つある

学科というのは自分が何を専門的に学ぶかです。5年間その学問を勉強することになります(転科については別記事の予定)。入学時に学科を選択して受験します。

 

4. 高専には本科と専攻科がある

この本科、専攻科は学科の意味ではありません。高専入学後の5年間を本科といい、卒業後にプラス2年勉強できる課程を専攻科といいます。つまり、本科卒業後に専攻科へ進学すると、大学卒業と同等の資格を得ることができます。

 

高専の概要についてはこのくらいにして、次からは高専のメリット、デメリットについてお話しします。

 

 

高専のメリット

1. 就職率がほぼ100%

おそらく高専がおススメされる最もおおきな理由がこれだと思います。高専生はメーカーから引っ張りだこです。それは現場で高専の知識をもって活躍してくれることを会社が期待しているからです。私の同級生たちはほとんど大企業に就職していきました。私も会社員時代は大企業の工場に勤めていました。

 

2. 大学共通テストを受けなくていい

1が就職する側のメリットに対して、2は進学する側のメリットです。

高校卒業後に国公立大学へ進学するときに大学共通テストというものを受験することが求められます。このテストの点数の良し悪しで受験できる大学が決まっていくのです。

この共通テストを受けなくていいメリットってなんだ?と思うことでしょう。

進路については別の記事を掲載する予定ですので、そちらを参照ください。

 

中学生の方でここまで将来を考えている方はなかなかいないことでしょう。私は当時全く気にしていませんでした。

 

3. 学費が安い

公立高校から国立大学へ進学した場合の7年間の学費はおよそ243万円

高専本科から専攻科へ進学した場合の7年間の学費はおよそ146万円

その差はなんと97万円!公立→国立で私立より圧倒的に安いのに、それよりも100万近く安いなんて、圧巻ですね。。。

これに加え、授業料免除や奨学金など経済的支援も充実していますので非常におススメです。

 

4. 各都道府県にある(ほとんど)

個人的にはこれが一番大きなメリットかなと思います。

基本的にお住まいの都道府県に1つは高専があります。レベルの高い学校へ実家から通えるというのは経済的にとてもありがたいと思います。現に私は実家から7年間通学していました。滋賀や佐賀のようにお住まいの県にないこともあります。その場合は隣接している県の高専へ進学することが多いです。

 

5. 寮がある

そして、高専には寮があるので実家から遠い学生は寮から通学することができます。私は入学して半期だけ入寮していました。誰もがはじめは新しい環境に不安なものです。県内、県外から集まった同級生、先輩と寮生活を送って、私はかけがえのない友人ができました。

毎日夜に静粛時間というものがあって、2時間程度勉強する時間が確保されるので学業にも取り組むことができます。

 

 

高専のデメリット

ここからはデメリットです。デメリットもちゃんと吟味しておかないと後悔してしまうこともあるでしょう。大学進学者より早い段階で自分の人生をある程度決定づけることになりますからね。

 

1. 知名度が低い

これです。これがなかなか大きなデメリットなんです。理系の大学生は編入生として関わるので高専生のことを知っている人がほとんどですが、文系の学生は知らない人が大半です。高専専攻科卒ともなるとだいぶ少数派です。

私が企業に就職してから幾度となく交わしてきた会話は

A「どこ大出身なの?」

私「あー、、、高専卒です」

A「そうなんだ、じゃあ今20歳?」

私「いえ、高専の専攻科というところで、大卒と同じなので22歳です、、、」

 

最初に高専卒というか大卒というかで悩んでましたが大体がテンプレートです(-_-;)

 

2. 教養がつきにくい

これは高専が悪いといいますか、高専教育の特徴です。

大学入試を経験しなくていいということは、裏を返せば勉強量が足りないということです。国語、地歴、公民など文系科目の知識が一般的大学生より足りていないなというのが全体として感じます。

高専教育は教養科目を最低限にする一方で、専門科目を重視しています。だから本科5年間で大卒程度の専門知識があるのです。ですからメリットであり、デメリットであるなと感じます。特に大学編入や大学院へ進学した高専生はコンプレックスを感じているのではないかと推察します。

 

まとめ

今回は高専について中学生向けに説明してきました。紹介しきれなかった魅力がまだまだあるのですが、みなさんに知っておいてほしいことは伝えれたかなと思います。

高専はとても楽しく刺激的なところです。進路の選択肢の一つとして考える価値はあると思います。